

ブルーカーボンって、聞いたことある?



聞いたことないなあ…



ぼくたち海の生物にとっても、とても大切な取り組みなんだよ!
ブルーカーボンとは
ブルーカーボンとは、沿岸・海洋生態系に取り込まれ、そのバイオマスやその下の土壌に蓄積される炭素のことを指します。
陸上の植物と同じように、海草や海藻は成長する際に、二酸化炭素を吸収します。
通常の炭素の貯留や吸収が地球上の森林や陸地に集中しているのに対し、こうした海洋の生態系(マングローブや海藻・海草など)によって貯蔵される炭素を「ブルーカーボン」とよび、近年、注目されています。
ブルーカーボンは海洋や海岸域に存在し、海洋生態系や湿地、海底の堆積物などによって貯留されます。海洋の藻場やマングローブを再生させることで、海の豊かさを取り戻しながら、海の生態系が吸収・固定するCO2を増やし、温暖化対策にもつながるのです。



温暖化対策と、海の環境改善を同時に行うことができるんだ!
ブルーカーボンの生態系
ブルーカーボン生態系とは、主に下記の生態系が挙げられます。
海草(うみくさ)藻場:アマモ、スガモ等、主に温帯~熱帯の静穏な砂浜、干潟の沖合の潮下帯に分布。
海藻(うみも)藻場:コンブ、ワカメ、主に寒帯~沿岸域の潮間帯から水深数十mの岩礁海岸に分布。
湿地・干潟:海岸部に砂や泥が堆積し勾配がゆるやかな潮間帯の地形、水没~干出を繰り返す。
マングローブ林:熱帯、亜熱帯の河川水と海水が混じりあう汽水域で砂~泥質の環境に分布、国内では鹿児島県以南の海岸に分布。


ブルーカーボンのメリット


温暖化防止
地球温暖化は、二酸化炭素やメタンなどといった温室効果ガスの排出量増加によって起きています。 そのため、ブルーカーボン生態系の生育環境を再生したり整えたりすることによって、二酸化炭素の吸収・固定する量を増やし、地球温暖化対策につながるのです。
海洋生態系や海岸域生態系の保全・復元
ブルーカーボンは、気候変動に対する自然の防御機能を果たすだけでなく、海洋生態系や海岸域生態系の保全や復元にも重要な役割を果たします。例えば、マングローブの保全や再植林は、炭素の貯留だけでなく、洪水やハリケーンからの保護、漁業資源の保全、生物多様性の維持など多くの利益をもたらします。
また、サンゴ礁や海草の保護は、海洋生態系の安定性や生物多様性の維持につながります。
ブルーカーボンはいつからあるの?
ブルーカーボンという言葉が提唱されたのは、2009年国連環境計画(United Nations Environment Programme: UNEP)でのことです。2009年の国連環境計画(UNEP)において、海洋生態システムが気候保全に重要な役割を担い得ると強調されたことを契機に、ブルーカーボンの役割が世界的に注目を浴びるようになりました。
日本でも、二酸化炭素吸収源対策としてブルーカーボンの活用を検討するようになり、
2019年、国土交通省は「地球温暖化防止に貢献するブルーカーボンの役割に関する検討会」を設置しました。
世界的にブルーカーボンを二酸化炭素吸収源として活用しようとする動きが活発化する中、日本でも藻場を活用するなどの新たな取り組みが始まっています。



海に囲まれている日本では、特にブルーカーボンの活用が期待されているんだ!


ブルーカーボンのメカニズム


ブルーカーボンのメカニズムは以下のようなプロセスによって成り立っています
植物プランクトンの光合成
海洋には豊富な植物プランクトンが生息しており、これらの微細な植物が太陽光を受けて光合成を行います。この過程で植物プランクトンは大気中のCO2を取り込み、有機物を生成します。
有機物の堆積
植物プランクトンが死滅したり、他の生物に摂食されると、その有機物は海底や海洋深層に沈殿し、堆積します。これによって、大量の有機炭素が海洋底に貯留されます。
堆積物の固定
海底に堆積した有機物は、酸素の存在が限定された状況下で、細菌などの分解を受けずに固定化されます。これによって、海底や海洋深層においてCO2が長期間貯留されます。
地質時間スケールでの貯留
海洋底に堆積した有機物は、地質時間スケールでのプロセスによって石油や天然ガスなどの化石燃料となります。これらの化石燃料は地下深くに保存され、数千万年から数億年にわたってCO2が貯留されます。
ブルーカーボンのメカニズムによって、海洋生態系は大気中のCO2を吸収・貯蔵することで、地球の気候変動を緩和し、生態系の安定性を維持する重要な役割を果たしています。このプロセスは、海洋環境の保護や海洋生物の多様性の維持にも密接に関連しています。
ブルーカーボンの重要性を認識し、海洋生態系や海岸域生態系の保全・再生に取り組むことは、地球規模での気候変動対策や持続可能な開発目標の達成に不可欠です。国際社会や地域社会が協力して、ブルーカーボンの保全や管理に向けた取り組みを強化し、海洋と陸地の両方の生態系の持続可能な管理を推進することが重要です。